ユニバーサルアナリティクス(UA)は、2023年7月1日に非推奨となり、グーグルアナリティクス4(GA4)についに完全に移行されてしまいました。
UAでレポートを、最短で閲覧できるのは2023年待つまでになってしまいました。
さらに、GA4に変換されて2か月がたったが、UAとGA4の大きな違いに混乱があります。
しかしながら、今こそ混乱を解消するときが来ました。
この記事ではGA4とUAを比較し知っておくべきことを説明し、使えるようになった新機能を見ていきます。
そもそもGAとは
Google Analytics (グーグルアナリティクス、通称GA)は、Google社が提供するWebページのアクセス解析サービスのことです。
例えば「どのようなユーザーがサイトを閲覧したのか」
「どこ経由でユーザーは現れたのか」
「どのページをどれぐらい見ているのか」
といったことを解析することができるサービスです。
GAは2005年に登場して以来進化を繰り返し今GA4に到達したというわけです。
1イベント中心のデータモデル
現代のマーケティング環境では、単なるページビュー数やセッション時間という指標を超えて、ユーザーのサイトやアプリ内の具体的な行動を理解することが求めれられています。
GA4はこのニーズにこたえるため、「イベント中心のデータモデル」を採用しています。
イベント+パラメーターのデータモデル
GA4は、データモデルの根幹として「イベント」を中心とした新しいアプローチを採用しています。従来のUAのようなページビューを中心としたモデルとは異なり、GA4はユーザーの具体的なアクションやインタラクションを「イベント」として捉え、それに関連する詳細情報を「パラメータ」として追加します。
1. イベントとは?
イベントはウェブサイトやアプリ上のユーザーのアクションを指します。これには、ボタンのクリック、フォームの提出、動画の視聴などが含まれます。GA4では、これらのアクションを直感的にトラッキングできるようになっています。
2. パラメータとは?
パラメータはイベントに関連する追加情報を提供するキーと値の組み合わせです。例えば、商品をカートに追加するというイベントがあった場合、その商品の名前や価格などの詳細情報をパラメータとして捉えることができます。
3. イベント + パラメータのメリット
- 詳細な分析: パラメータを使用することで、イベントの背後にある詳細な情報を取得することができます。
- 柔軟性: ユーザーのインタラクションやニーズに合わせて、カスタムイベントやパラメータを簡単に追加することができます。
- 深い洞察: イベントとパラメータの組み合わせにより、ユーザーの行動やプレファレンスをより深く理解することができます。
4. 実装のヒント
GA4のイベントトラッキングを最大限に活用するためには、事前にトラッキングしたいイベントとそれに関連するパラメータを明確に定義することが重要です。また、Google Tag Managerなどのツールを使用して、イベントとパラメータのトラッキングを効率的に実装することもおすすめです。
なぜイベント中心のモデルが必要なのか
1深いユーザー理解:
イベント中心のモデルを採用することで、ユーザーがサイトやアプリでどのような行動をとっているのかをより具体的に理解することができます。これによりユーザーエクスぺリエンスの向上やコンバージョン率の最適化などの施策が可能になります。
2カスタマイズ可能性:
GA4ではイベントのカスタマイズが容易です。これにより、特定のビジネスや産業に特有の行動や指標を簡単にトラッキングすることができます。
3より細やかなトリガー設定:
タグマネージャを使用すれば、特定のイベントが発生した時に特定のアクションをトリガーするといった高度な設定も可能になります
イベントの設定と活用方法
GA4におけるイベントの設定は、Google Tag Managerを使用して行うのが一般的です。基本的なイベント(例: ページビュー、スクロール、検索など)は自動的にトラッキングされますが、カスタムイベントの設定を通じて、ビジネスに合わせたデータ収集が可能です。
イベントデータの活用方法は無限大。例えば、特定のボタンクリックが多いページや、ユーザーが最も多くの時間を費やしている動画コンテンツを特定することで、サイトの最適化やマーケティング施策の方向性を見直すことができます。
2ユーザー識別の進化
ユーザー識別は、デジタルマーケティングとアナリティクスにおいて極めて重要な要素です。特に、ユーザーがどのような行動を取るのか、どのようなコンテンツに興味を持っているのかを知ることで、より効果的なマーケティング戦略を組み立てることができます。GA4におけるユーザー識別の進化により、これが更に強化されています。
従来のユーザー識別とは
UAでは、Cookieを使用してユーザーを識別していました。これにより、同一のユーザーが複数回サイトを訪れるたびにその行動を追跡することができました。しかし、プライバシーポリシーやブラウザのアップデートによるCookieの利用制限など、変化する環境に対応する必要が出てきました。
GA4のユーザー識別の進化
1クロスプラットフォームのトラッキング:
GA4では、異なるデバイスやプラットフォーム間でのユーザー行動を一元的に追跡することが可能です。これにより、例えばスマートフォンで商品を閲覧したユーザーが、後にPCで購入に至るといった行動も正確にキャッチできるようになりました。これは、GA4でUserID+Googleシグナル+クッキー(精度の高い順に)使うことによって、ほとんどのユーザー情報をキャッチできるようにしているからです。
2匿名のユーザー情報の活用:
プライバシーを尊重しつつ、匿名のユーザーデータを集計・分析することで、ユーザーの興味や行動の傾向を理解することができます。
3ユーザー属性の拡張:
GA4では、従来よりも多くのユーザー属性をトラッキングすることができるようになりました。これにより、年齢、性別、興味、購買行動など、多岐にわたるデータをもとにユーザーをセグメント化し、ターゲティングをより精緻に行うことができるようになりました。
3レポートの進化
デジタルマーケティングにおけるレポートは、その成果や方針の検証、そして戦略の見直しに不可欠な要素となっています。このレポート機能も大きく進化を遂げました。
従来のレポーティングとの違い
UAでは、静的なレポートが中心でした。つまり、Googleが提供する定型的なレポートを元にデータを確認する形が一般的でした。一方、GA4ではレポーティングの柔軟性が大きく向上しています。
GA4のレポートの進化
- 探索レポート: この機能により、ユーザー自身がカスタマイズしたレポートを作成することができます。特定のセグメントや指標に焦点を当てたレポートを簡単に作成することが可能となりました。
- ビッグクエリの統合: GA4はGoogle Cloudのビッグクエリとシームレスに統合されており、巨大なデータセットに対しても高速にクエリを実行し、深い分析を行うことができます。
- 予測レポート: AIを活用した予測分析をサポートしており、将来のユーザー行動や売上の予測などが行えるようになっています。これにより、マーケティング戦略の先読みが可能となりました。
- オーディエンスの組み合わせ: さまざまな属性を組み合わせてオーディエンスを作成し、それを元にレポートを生成することができます。これにより、非常に詳細なセグメント化に基づく分析が実現されています。
4機械学習の活用
近年、機械学習という言葉がさまざまな場面で耳に入るようになりました。それは、デジタルマーケティングの分野においても例外ではありません。特に、GA4 における機械学習の活用は、ウェブサイトやアプリの分析を新たな次元へと導いています。
GA4での機械学習の利点
- 予測分析: 一番の特徴は、ユーザーの将来の行動や購入確率を予測することができる点です。これにより、マーケティング戦略の先読みや、リターゲティングの対象ユーザーをより精確に特定することができます。
- 異常検知: 通常のトラフィックやコンバージョンのパターンから外れるデータを自動的に検出します。これにより、予期しない問題やチャンスを迅速にキャッチすることが可能となります。
- セグメントの自動生成: 過去のデータやユーザー行動に基づいて、効果的なセグメントを自動で提案してくれます。これにより、新しい市場やターゲットユーザー層の発見が期待できます。
実際の活用例
- 離脱予測: ユーザーがサービスや商品から離れる可能性を予測し、それに応じてリテンション戦略を考えることができます。
- 購入確率の分析: 機械学習を用いて、特定のユーザーが商品を購入する確率を分析し、より効果的なプロモーション戦略を計画することができます。
- コンテンツの最適化: ユーザーの興味や行動パターンを分析し、最も関心を持ってもらえるコンテンツや広告を自動的に表示することができます。
5BIG Queryのシームレスな連携
BigQueryとは?
BigQueryは、Google Cloudのフラグシップデータウェアハウスで、巨大なデータセットに対して高速なSQLクエリを実行することが可能です。実質的には、リアルタイムのデータ分析を大量のデータに対して実施することができるのです。
GA4とBigQueryの連携の利点
- リアルタイムの分析: GA4のデータがリアルタイムでBigQueryにエクスポートされるため、即座に深い分析やカスタムレポートを生成することができます。
- 高度なセグメンテーション: BigQueryでのクエリ能力を活用して、GAのデータに対して高度なセグメンテーションやカスタム分析を行うことが可能になります。
- データの統合: 他のデータソースやプラットフォームとBigQuery内でのデータを組み合わせることで、より包括的なビジネスインサイトを取得することができます。
- 機械学習との統合: BigQuery MLを使用して、GA4のデータに対して直接機械学習モデルを適用し、予測分析やパターン認識を行うことができます。
実際の活用例
- 購入予測: BigQueryを用いて、GA4のデータから顧客の購入確率や次回の購入時期を予測するモデルを構築。
- 広告の効果分析: 広告データとGA4のウェブサイト訪問データを統合し、広告のROIを詳細に分析。
- ユーザーパターンの発見: BigQueryの高度な分析機能を利用して、ユーザーの訪問パターンやコンテンツの閲覧傾向を深堀り。
6データ保持期間の変更
データ保持とは?
データ保持とは、Google Analyticsで収集されたデータがどれだけの期間保存されるかを指定する設定のことを指します。この期間が経過すると、収集されたデータは自動的に削除されます。
GA4におけるデータ保持の変更点
- ユーザーレベルのデータ保持: GA4では、ユーザーレベルのデータに対する保持期間を設定することができるようになりました。これにより、特定のユーザー情報を保護することが容易になりました。
- 柔軟性の向上: GA4では、デフォルトの保持期間を超えても、必要に応じてデータの保持期間を延長することができるようになりました。
- データの自動削除: 設定された保持期間が経過したデータは、自動的にGAから削除されます。これにより、古いデータが無駄に蓄積されることを防ぐことができます。
7セッションの考え方の変更
従来のセッションとは
UAにおけるセッションは、ユーザーがウェブサイトを訪れてから30分の無活動が続くまでの一連のインタラクションを示すものでした。言い換えると、ユーザーがサイトに到着してから30分間のアクティビティが一つのセッションとしてカウントされました。
GA4のセッションの新しい考え方
- イベント中心のモデル: GA4はイベント中心のデータモデルを採用しているため、セッションの考え方も変わりました。GA4では、セッションは特定のイベントを中心に構築されます。
- セッションの長さ: 従来のセッションは30分の無活動が基準でしたが、GA4ではユーザーがサイトやアプリでの最後のイベントからの時間を基にセッションの長さを測定します。
- エンゲージメントに基づくセッション: GA4では、ユーザーエンゲージメントをより深く理解するために「エンゲージメントセッション」という新しい指標が導入されました。これはユーザーがサイトやアプリで実際にどれだけの時間を過ごし、どれだけの活動をしたのかを示すものです。
なぜこの変更が重要なのか
- ユーザーエクスペリエンスの深化: GA4のセッションは、ユーザーの実際のエンゲージメントをより正確に捉えることができます。これにより、マーケターやウェブマスターはサイトやアプリのユーザーエクスペリエンスを向上させるための洞察を得ることができます。
- より詳細な分析: 従来のセッションよりも、GA4のセッションはユーザーの動きや興味をより詳細に分析することができます。
8アドホック分析の拡充
従来のアドホック分析との違い
UAの時代から、Google Analyticsはカスタマイズされたレポートやセグメントの作成を支援してきました。しかし、GA4がもたらしたアドホック分析の拡充は、これまでの枠組みを超えるものです。
GA4におけるアドホック分析の新機能
- 柔軟なデータ探索: GA4のエクスプローラ機能を使用することで、ユーザーはデータをより深く、より柔軟に探索することができます。これにより、特定の問題や仮説に基づいてデータを即座に分析することが可能となりました。
- カスタマイズされたビュー: ユーザーは自らのニーズに合わせて、データビューをカスタマイズすることができます。これにより、特定の分析やレポートニーズに迅速に応えることが可能です。
- 高度なセグメンテーション: GA4では、より詳細なセグメンテーションの作成が可能となりました。これにより、特定のユーザーグループやトラフィックソースに焦点を当てて、データを分析することができます。
なぜこの拡充が重要なのか
- 深い洞察の獲得: アドホック分析の拡充により、マーケターやアナリストはデータの中に隠れた洞察やトレンドを迅速にキャッチすることが可能となります。
- 迅速な意思決定: データを即座に分析し、アクションを起こせる能力は、ビジネスの競争力を高める要因となります。GA4のアドホック分析は、迅速かつ的確な意思決定をサポートします。
9セグメントの変更
従来のセグメントとの違い
UAでは、セグメントは特定のユーザーグループを切り分ける方法として活用されてきました。しかし、GA4のセグメントはより柔軟かつ詳細にデータを分割・分析できるように進化しています。
GA4のセグメントの新しい特徴
- イベント中心の設計: GA4のセグメントはイベントデータを中心に設計されており、ユーザーの動作やサイト内でのインタラクションに焦点を当てた分析が可能です。
- 組み合わせの自由度: さまざまな条件や指標を組み合わせてカスタムセグメントを作成することができ、これによりユーザーは非常に詳細な分析を行うことができます。
- 予測セグメント: GA4の機械学習機能を活用して、将来のユーザーの動向や行動を予測するセグメントを作成することが可能となりました。
セグメントの変更の利点
- 深い洞察: 新しいセグメントの設計により、データの中の隠れたパターンやトレンドを探ることが容易になりました。
- マーケティング戦略の最適化: カスタムセグメントを利用して特定のユーザーグループに焦点を当てることで、効果的なマーケティング戦略の策定が可能となります。
10 Webサイトとアプリの統合分析
従来の分析ツールの限界
従来のUAでは、Webサイトとアプリのデータは別々に管理・分析されていました。これにより、ユーザーの跨デバイスや跨プラットフォームの動向を詳しく知ることが難しかったのです。
GA4の統合分析の特徴
- 一つのプロパティでの分析: GA4では、Webサイトとアプリのデータを一つのプロパティで統合して管理・分析することができます。
- ユーザーの全体的なジャーニーの理解: 一つのプラットフォームでデータを見ることにより、ユーザーのWebサイトとアプリでの動向を総合的に捉えることができます。
- 統合レポートの提供: GA4はWebサイトとアプリのデータを組み合わせたレポートを提供し、マーケティングや商品開発において有益な洞察を得るのを助けてくれます。
統合分析の利点
- 高度なセグメンテーション: ユーザーがWebサイトとアプリをどのように利用しているかを基に、より詳細なセグメンテーションを行うことができます。
- マーケティングの効果的な最適化: 跨デバイスや跨プラットフォームのデータを元に、効果的なマーケティング戦略を策定することができます。
- 一貫したユーザーエクスペリエンスの提供: ユーザーの行動や傾向を統合的に分析することで、一貫したユーザーエクスペリエンスを提供するための改善点を発見することができます。